小児科
ワクチン接種スケジュール (2014年10月1日版 日本小児科学会)
生後2カ月から予防接種はできます。乳児期早期でも感染することがあるので、接種できる月齢が来たらできるだけ早く接種することをお勧めします。
予防接種は乳幼児期はもちろん、小学校の高学年以降も必要です。お住まいの自治体からお知らせが届いたら忘れず接種し、子どもを病気から守りましょう。
混合ワクチンの最新状況
近年、日本でも新しいワクチンの認可が進み、定期接種のワクチンが欧米並みに増えた。一方ですべての定期接種ワクチンを1回の医療機関受診につき1本のみの接種とすると、30回近く受診しなくてはならない。
対象疾患に罹患しやすい時期より前にワクチン接種をしなければ、ワクチンの効果や意義は半減し、せっかく接種できるワクチンが増えても宝の持ち腐れとなる。
欧米諸国はこのような事態を避けるために、様々な努力・工夫を行ってきた。その一つが混合ワクチンである。
混合ワクチンとは、異なる病原体の感染予防に対して効果のあるそれぞれのワクチンを一つにまとめ、1回の接種で複数の病原体に対するワクチンを接種できる製品、あるいは同じ疾患を呈する病原体でも複数の血清型がある場合、それぞれの血清型に対するワクチンが一つにまとめられている製品を指す。
例えば、現在日本で認可されている混合ワクチンで前者は、3種混合(DTaP;ジフテリア+破傷風+百日咳)ワクチン、4種混合(DTaP-IPV;ジフテリア+破傷風+百日咳+不活化ポリオ)ワクチン、MR(麻疹+風疹)ワクチンなどがあり、後者は肺炎球菌ワクチンなどが挙げられる。欧米諸国では30年以上前からこれらのワクチンが積極的に導入されている(表)。なお、二つの異なるワクチンを同じ受診時に別々に接種する(例えばDTaPを右腕に、IPVを左腕に接種する)同時接種(simultaneous vaccination)とは異なる。
【Medical ASAHI 2015 Julyより引用】
欧米諸国での混合ワクチン
欧米では混合ワクチンは、定期接種に導入されるワクチン数の増加に伴う針刺し回数を減らす最も実用的な手段として受け入れられてる。また、混合ワクチンは特に乳幼児期に接種すべきワクチン接種スケジュールから遅れている子どもたちが理想のスケジュールに追いつく有効な方法であると考えられている。
混合ワクチンを使用するメリットは各国で多少異なるが、主に三つ挙げられている。
1点目は混合ワクチンを用いることでなるべく早く、多くのワクチンを接種することが可能となり、感染の脅威から乳幼児を早く守れる点である。混合ワクチンを導入してからワクチンの接種率が上がったり、スケジュール通りにワクチンが接種されている子どもの割合が高くなったという報告が米国の自治体から数多く寄せられている。
2点目は接種回数軽減により、子どもの針刺しによる精神的ストレスやトラウマを軽減する点が挙げられている。子どもの負担や安全性等を考慮し、医師や両親が1回の受診で3回以上の針刺しを拒むケースが欧米でも認められるが、混合ワクチンを用いて針刺し回数が減ることで、彼らの懸念が軽減・解消されている。
3点目は混合ワクチンを接種することにより受診回数が少なくなるため、両親への金銭的・時間的負担が軽減される点である。
【Medical ASAHI 2015 Julyより引用】